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東京高等裁判所 昭和53年(ラ)205号 決定

第二〇五号抗告人 株式会社小林製作所

右代表者代表取締役 小林勇

第二〇八号抗告人 クサブエ建設株式会社

右代表者代表取締役 鈴木康之

主文

原決定を取消す。

本件競落は許さない。

理由

抗告人らの抗告の要旨は、原決定を取消し、更に相当の裁判を求め、その不服の理由については抗告状に追って提出するというにあるが、いまにいたるもこれが提出がないのでその理由を知ることができない。

そこで職権で記録を調査すると、抗告人株式会社小林製作所は、本件任意競売手続における債務者、抗告人クサブエ建設株式会社は、同手続における物件所有者であるところ、昭和五三年三月八日午前一〇時の競売期日においては、競買価格の申出を催告した日時は午前一〇時であるにもかかわらず、競売の終局を告知した日時は同日午前一〇時一五分であるから、この間に競売法三〇条で準用する民訴法六六五条二項に定める満一時間を経過していないことが明らかである。

以上によると、本件競売手続は右の法条に違反した違法があり、これが事由は競売法三二条二項で準用する民訴法六七二条七号にあたり、競落を許すべきではないにもかかわらずこれが競落を許可した原決定は取消しを免がれない。

したがって、抗告人らの本件即時抗告は理由があるので、原決定を取消し、本件競落はこれを許さないこととして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 舘忠彦 裁判官 宮崎啓一 高林克巳)

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